平成28年6月にNPO法の一部が改正され、法務局で毎年行う資産の総額の登記が不要となる代わりに、貸借対照表の公告を行うことが義務付けられました。
NPO法人なら「資産の総額の変更」登記が毎年必要だった
NPO法人は定款に定められた期末後に、理事会、総会を経て承認された財産目録を資産の総額の変更を登記しなければなりませんでした。
この資産総額の変更における登記の負担を軽減するため、貸借対照表の公告をもって、資産変更登記が不要になり、事業活動を円滑にすすめるために行っている運営活動を軽減するのが目的のようです。
ところが、この貸借対照表の公告というのを理解していない団体が多かった。
貸借対照表の公告とはいったい何を行うことなのか。
実は定款に定めてある「貸借対照表の公告」の方法
実は、NPO団体であれば必ず持っている「定款」にその公告について書かれています。ある団体の定款には「公告」についてこう記されていました。
公告の方法
この法人の公告は、この法人の掲示場に掲示するとともに、●●新聞に掲載して行う。
この団体の定款に示されている「公告」方法だと、
- 法人の掲示板・・・法人の事務所で不特定多数の人の目に留まる場所に掲示する
- ●●新聞に掲載・・・●●新聞(地方で発行されている日刊新聞)に掲載
となっています。
「1」は貸借対照表を不特定多数の人の目に触れる場所、つまり、事務所に入らないと見られない状態ではなく、通りすがりの人でも見られる場所に掲示しなくてはならないということ。
そしてこの定款には「~とともに」と書かれているので、指定された新聞にも貸借対照表を掲載してもらわなければなりません。
ちなみに、新聞に貸借対照表を掲載してもらうのに費用がかかるのではと思い、新聞社に確認してみると案の定費用が発生しました。
貸借対照表の公告についてNPO法が改正された
NPO法の改正内容を確認すると、貸借対照表の公告については以下の5通りの中から選べるようになっていました。※複数の方法を用いても可
- 官報掲載 ※有料
- 日刊新聞紙への掲載 ※有料
- 法人ホームページへの掲載
- 内閣府NPO法人ポータルサイトの法人入力情報欄に掲載
- 主たる事務所の掲示場への掲示
しかし、このNPO団体の定款には「2」と「5」を行うこととなっているため、定款をこのままにしておくと「2」の日刊新聞紙へ掲載することになり、その費用が掛かってきます。
もし、NPO法人にホームページがあるのであれば「2」の方法をやめ、「3」の法人ホームページへの掲載に公告方法を変更したほうがいいように思います。
といっても定款を書き換えただけでは公告方法は有効にはなりません。
今回の「貸借対照表の公告」についての定款変更は、所轄庁の認証は不要とされていますが、通常、定款を変更するには所轄庁の認証が必要です。
定款変更に際して、所轄庁の認証が不要となるのは以下の
- 所轄庁の変更を伴わない事務所所在地の変更
- 役員の定数に関する事項
- 資産に関する事項
- 会計に関する事項
- 事業年度
- 残余財産の帰属すべき者に係るものを除く解散に関する事項
- 公告の方法に関する事項
となります。
今回は、定款に記された公告の方法を変更するだけなので所轄庁の認証が不要なのですが、定款を変更したという届け出は必ず提出しなければなりません。
貸借対照表の公告方法の変更に伴う定款の変更に必要なもの
今回の貸借対照表の公告が義務付けられたことによって、NPO法人が行わなければならない定款変更に伴う届け出に必要な提出書類は
- 定款変更届出書 第6号様式 1通
- 総会議事録の写し 1通
- 変更後の定款 2部
となります。