先日、講師をお呼びして講座を開いていただいたときのこと。PowerPointで作成したファイルをUSBメモリに保存していくのでパソコンを準備してほしいということでしたので、パソコンのOSとバージョン、PowerPointのバージョンをお知らせして当日を迎えました。
講座が始まる直前に講師が到着されたので、PowerPointのファイルが再生できるかを確認する時間がなく、講座が始まりました。
PowerPointのファイルを開くと、講師が戸惑っておられます。フォントの一部が変わってしまっている、とのこと。どうやら代替フォントで開いてしまっているようです。
WordやExcelよりもPowerPointはバージョンの違いがファイルの開きや動きに影響があります。事前に、バージョンをお伝えしておいたのですが、漏れてしまっていたようです。
この記事では、PowerPointでスライドを作成したパソコンとは別のパソコンでファイルを開くときに覚えておきたい「フォントの埋め込み」についてお伝えします。
PowerPointで使っていたフォントとは違うフォントになってしまった理由は?
再生するパソコンにはないフォントは代替フォントになる
パソコンにインストールされているフォントは、パソコンごとに異なります。ご自身のパソコンにはインストールされていても、他のパソコンにはインストールされていないことがあります。
ファイルを作成したパソコン以外でファイルを開くときやファイルをインターネットを介して共有する場合は、どのパソコンでもインストールされているフォントを使用してファイルを作成する必要があります。
- BIZ UD ゴシック、BIZ UD 明朝体
- UDデジタル教科書体
- Yu Gothic UI
- 游ゴシック・游明朝
- Meiryo UI
- メイリオ
- MSゴシック・MS明朝
- MSPゴシック・MSP明朝
- MS UI Gothic
※フォント名の頭に「HG」「HGP」「HGS」がついているものはMicrosoft Officeのバージョンによって入っていたり入っていなかったりする
ファイルに使用しているフォントが、再生するパソコンにインストールされていない場合は、「代替フォント」が使われるため、フォントが変わってしまいます。
別のパソコンで開いてもフォントが変わらないようにするには?
「フォントの埋め込み」をしておこう
PowerPointには、使っているフォント自体をどのパソコンでも再現できるよう、ファイルを保存する際、使っているフォントをファイルに埋め込んで保存することができるようになっています。
PowerPointで、フォントを埋め込んで保存するには、そのファイルで使用しているフォントだけを埋め込んで保存する方法と、ファイルを作成したパソコンにインストールされているすべてのフォントを埋め込んで保存する方法があります。
PowerPointで作成したファイルを、作成したパソコン以外で開くだけなら前者の「使用しているフォントだけを埋め込んで保存」、作成したパソコン以外で編集する可能性がある場合は、後者の「すべてのフォントを埋め込んで保存」を行いましょう。
PowerPointでフォントを埋め込んで保存する方法
PowerPointでフォントを埋め込んで保存するには、「ファイル」をクリック→「その他」をクリック→「オプション」をクリックし、PowerPointのオプション画面を開きます。
画面左側にある「保存」をクリックし、「次のプレゼンテーションを共有するときに再現性を保つ」の項目にある「ファイルにフォントを埋め込む」のチェックを入れます。
ファイルを開くだけなら「使用されている文字だけを埋め込む」、ファイルを編集する可能性があるなら「すべての文字を埋め込む」をクリックし、OKボタンをクリックします。

あとは、いつも通りに保存するだけで、フォントを埋め込んでファイルを保存することができます。
フォントを埋め込むとファイルの容量が大きくなる
PowerPointでフォントを埋め込んで保存すると、ファイルの容量がとても大きくなります。
試しに、ファイルを埋め込まずに保存したファイルのサイズを確認すると9.28MBだったものは、使用しているフォントだけを埋め込むと12.5MB、すべてのフォントを埋め込むと31.4MBとなりました。
これは、そのファイルを作成しているパソコンにどれだけのフォントがインストールされているかによって容量は変わるのですが、約3倍になりましたね…。
PowerPointに限らず、自分のパソコンにインストールされているフォントが、他のパソコンにもインストールされているとは限らないので、他のパソコンで開いたり編集したりする可能性があるなら、念のため、フォントを埋め込んで保存するようにしておきましょう。
ただし、フォントを埋め込んだファイルというのはファイルの容量が大きくなりますので、開いたり編集したりするときに動作が重くなることがあるかもしれないことを覚えておきましょう。