NPOとはNonprofit Organizationの略称ですが、このNPOを日本語に訳すと「非営利組織」となります。
実はこの「NPO」という名称が付いている団体でも、NPO法人となっている団体とNPOとだけついている団体があります。
よくこの意味を聞かれるので、今日は参考サイトを使いながら書いてみようと思います。
NPOという言葉を広義で語るならば非営利組織は全てNPOになる?!
いつものようにWikipediaさんで調べるとこんな風に書かれています。
広義のNPOは、利益の再分配を行わない組織・団体一般(非営利団体)を意味する。この場合の対義語は営利団体、即ち会社(会社法による)などである。この意味では、社団法人や財団法人、医療法人、社会福祉法人、学校法人、宗教法人、中間法人、協同組合、果ては地域の自治会なども広義の NPO である。法令に定められた各種法人格を持つものにあっても、行う事業あるいはその組織・団体自体を維持するために収益を上げることに制限はない。有給・無給の専従職員を置く団体も数多い。
引用https://ja.wikipedia.org/wiki/NPO#.E5.BA.83.E7.BE.A9.E3.81.AENPO
そうなんです、地域の自治会も広義に語ればNPOなんです。自己の利益ではなく、受益者に利益をもたらす活動。地域の自治会も、その地域のためを思って活動している、そして営利を目的としていないという点では大きく括るとNPOとなるのです。
NPOというのは非営利組織のことを言う。ならなぜ法人格を持つのか。
NPO法人は略さずにいうと「特定非営利活動法人」です。NPOというのが非営利で活動するということになるのですが、この頭に付いている「特定」。この意味をもう少し書いてみます。
NPO法人は特定非営利活動促進法のもとに設立される
実は、NPO法人というのは、特定非営利活動促進法という法律をもとに設立される団体のことをいいます。この特定非営利活動というのは、その団体の活動目的が以下のものに限定(特定)される、というものです。※平成30年7月19日現在
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 観光の振興を図る活動
- 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
- 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
参照 特定非営利活動法人(NPO法人)制度の概要 内閣府NPOホームページ
NPO法人を設立されるとき、上に挙げた20の活動目的のうち、自分たちが行う活動がどの項目にあたるのかを申請し、承認される流れになります。
上に挙げた20の活動目的の中で申請、定款に記載されたものを「特定非営利活動に係る事業」とし、それ以外の活動は「その他の事業」として事業あるいは会計を行う必要があります。
NPO法人。法人格を持つ意味を考えてみる。
NPOとして営利を目的とせず、公益性を持った活動をしている人たちはおおぜいいます。その中であえて、法人格を取得するにはそれなりの意味やメリットのようなものがあるように思いますよね。
実際、法人格があろうとなかろうと行う活動自体は変わらないことがほとんどです。
NPO活動をしているなかで法人格を取得しようとすると、それまでの活動以上に事務作業は増えますし、事業年度終了後には必ず報告義務が発生します。
自分たちが行っている活動以外の作業が増えることは間違いないです。実際、わたしが属している団体もNPO法人として設立したときは「なぜNPO法人にならなければいけないのか」という疑問を持つ会員が多くいました。
その疑問の大きな要因としてこのNPO法人という呼び名の中にある「非営利」という言葉が「収益を得てはいけない」という意味に捉えられたことでした。
それに、認証した機関に対し、事業年度ごとに報告義務が発生し、報告されたものは常にだれでも確認できる状態にしなければならない、つまり、どんな活動をしていて、どんな会計をしているかということを開示しなければならないというのが面倒だと感じる人も多くいました。
それでもなお、NPO活動を法人格を取得して継続させるメリットのようなものがあるのでしょうか。
任意団体からNPO法人へ。何か変わったことはあった?
実際、それまで任意団体として行っていたときとNPO法人格を取得した後とでは事業内容に大きな変化はありませんでした。
ただ、NPO法人として認証されたということでそれまで任意団体の名称と代表者名で作っていた銀行口座を、NPO法人の名称だけで開設できました。
それに大きな機関(行政や企業など)との事業契約が結びやすくなったというのもありました。
わたしが属していた団体の事務所は、代表者の自宅にしていましたが、事務所を借りたり、それに即した契約を行おうとするなら、法人として契約を行うことができます。
もし、法人格を取得せずに事務所を借りようとすれば、代表者が借主になって物件を借りることになりますから、代表者が変更になったとき、改めて契約をし直す必要が生じます。
また、活動および会計報告を年度ごとに行うということは、どんな活動をしてどんな会計処理をしているのかが常に公開されているということになります。
国や県、市町村以外にも市民活動を含めたNPO活動を支援する助成金や補助金がありますが、それを申請できるという点も大きいのではないかと思います。
とはいえ、上に挙げた20の活動目的のうち、申請できる補助金や助成金が多い活動目的とそうではない活動目的はあるように思います。
NPO法人でもNPOでも団体運営に欠かせないこと。
まずは報告義務。
団体内で「総会」と呼ばれる会員すべてに呼び掛け集まり、活動内容や会計について報告する義務があります。NPO法人には理事を置くとありますので、理事会も開かなければなりませんね。
NPO法人の活動は会員(正確には社員と呼びます)の総意で行われるものですので、団体の合意形成に時間がかかる場合がよくあります。できるだけスピーディーに活動へと移行させたいのですが、なかなか難しいというのが印象としてあります。
それから活動していくうえでの決まり事。任意団体の場合は規約と呼ばれることが多いでしょうか。NPO法人は定款です。
定款というのは、一言変えるだけでも総会を開いて承認を得て、さらに認証機関に定款を変えるよという申請を出し、縦覧期間を経て改めて定款としての効力を持ちます。
それから、やはり経営面ですよね。収入のほとんどが会員(社員)が納めてくれる会費で運営しているところが多いので、会員が減れば収入が減る。収入が減れば活動範囲を縮小せざるを得ない。
法人格を取得すると法人税の納税者にもなりますので、税務申告の義務も発生します。このあたりは団体の事業活動によって異なるので一概には言えませんが、認証機関への報告とは別に法人として税務申告の義務も発生します。
NPO法人でも人を雇うことはできる。
NPO法人として活動している中で一番思うことは、これらの業務を専従で行ってくれる人を雇用できる、そうなればもっと事業を拡大させられるのでは…と。
ちなみに、NPO法人は人を雇用することができます。人を雇えるの?給料は?非営利なのに?とよく言われますが、事業活動によっては人を雇用することで提供できるサービスを安定させることが必要ですので、人を雇用することは可能なのです。
人を雇用するということは、以下のページにも書かれている通り、NPO法人だからといって雇用契約における義務は免除されません。しっかりと関係機関に申請を行う必要があります。
参考 職員を雇ったのですが、雇用主としてどのような義務が発生しますか?
実感として、雇用契約をしっかりと結び、公益性を持った事業活動を行い、サービスを安定的に供給できているNPO法人はあまりないような気がします。
NPO法人を設立しようと思ったら
いろいろグダグダと書いてしまいましたが、自分たちの行おうとしている活動が公益性を持っていて、且つ継続して行っていく必要があると考えるなら、NPO法人を設立したほうがいいと個人的には思います。
確かに面倒なことが多い。NPO法人というものが世の中に知れ渡っていても「非営利」という言葉が先走り、収益を上げてはいけない、活動は無償で行われなければならないというある種の誤解とたたかう場面も多いです。
けれど、自分たちの行おうとしているものが継続して行う必要があると思うのであれば、法人という人格を団体に与えて、たとえ自分が一線を退いたとしても活動が継続されていくような土台を作るもの、と考えれば、NPO法人の設立を考えてみてもいいのではないかと思います。
NPO法人の設立を考えるなら、まずは都道府県にある支援機関(福井県でいうと福井県民活動センター)に行ってみるのがいいと思います。相談は無料ですし、都道府県単位で活動を周知している職員さんがいらっしゃいますので、自分たちが行おうとしている活動について話を聞いてもらうというのもありだと思います。
わたしはNPO法人の設立の際は、その他大勢でしたので詳しいことは分かりません。が、毎年の報告に関して分からないことがあると出向き、いろいろ教えてもらいました。担当者の人は書類の一言一句にチェックを入れてくれるくらいしっかりと読み込んでくださいました(笑)
今でもちょっと分からないことがあると相談に行っていますが、欲を言えばもう少し近いとありがたい…と本音を書いてしまいました。