高齢者対象のスマホ教室をしてほしいとご依頼いただくことが多いのですが、講習や教室となると主催者側としては集客つまり多くの人数を集めて一斉に講習を行う形を希望されることが多いです。
高齢者を対象としたスマホ教室は一斉講習より相談形式の方がいいと思う理由。
わたしはスマホ教室を一斉講習のスタイルで行うより、相談形式にされたほうがいいですよ、と言わせていただくのですがなかなかここが歩み寄れず、開講には至っていません。
高齢者対象のスマホ教室を一斉講習ではなく相談形式にしたほうがいいと思う理由を少し書いてみようかと思います。
スマホを購入する前なのか購入した後なのかによってニーズは異なる
まず、受講者。スマホを購入する前なのか購入した後なのかによって提供できる講習内容に違いが生じます。
スマホを購入する前なら一斉講習を行ってもいいと思います。なぜならスマホ自体が何なのかというところを知りたいと思う受講者が集まるからです。
できれば実機に触れて抵抗感や不安感を軽減したいというのが講習の目的になればいい、と考えています。実際問題、実機を受講者数だけ準備することは難しいですが。
高齢者がスマホに感じる抵抗や不安
特に、高齢者を対象とした場合、スマホに対する抵抗感や不安感は高いです。スマホを使いこなせるかという点に対していろいろ思うところがあるようです。
パソコン教室の会場でも、スマホに対する相談は多くなりました。それこそ、スマホを購入する前の人もいれば購入した後の人もいます。
購入する前と後では、受講者が望む指導は違っています。主催者としては人数を集めたいと思うのか、間口を広げてしまい、購入する前の人も後の人も受け入れてしまいます。
スマホ教室を一度だけお請けした時の話。
実は以前一度だけスマホ教室の講師を依頼されお請けしたことがありました。その時も、上に書いたようなことを主催者にお話ししたのですが、ふたを開けてみれば受講者とされる人たちは、購入する前の人と購入者が入り混じっていました。
講習内容として準備したものは購入前に知っておいた方がいいことを中心としていました。受講者の中には「今、その話をされても…」と言う人が出てきました。当然ですよね。
結局、どちらにも的を絞り切ることができず、時間が終わってしまった。
その時に思ったのは、購入前の人、購入後の人と間口を分けたほうがいいということ。購入前の人にはスマホとは何ぞやと言う話を中心に構成し、購入後の人はもうスマホを利用しているので困っていることやうまくいかないことを相談できる場として機会を作る方がいいと思いました。
高齢者だからスマホは使えない?
高齢者だからスマホは使えないという声をよく耳にします。高齢者自身からもですが、高齢者を取り巻く周囲の人からもです。
個人的には、高齢者だからスマホは使えないと思ったことはありません。高齢者でも使えるように作られたスマホもありますし、そうじゃないスマホも使えると思っています。
パソコンが出始めたときもインターネットが普及したときもそうだった
パソコンが一般的に普及し始めたころもそうでした。パソコンは仕事で使うもの、若い人が使うものと思われていたけれど、今では高齢者でもパソコンを使ってあらゆることを実現している人がいます。
スマホという機器も年々進歩しています。どんな人にでも使ってもらえるように、と機能が向上してきてもいます。
パソコンもそうでしたよね。パソコンを動かそうとするならOSのインストールから行わなければなりませんでしが、今では初めからOSやアプリがインストールされた状態で販売されています。電源ボタンを押せばパソコンを起動することはできます。
インターネットもそうです。インターネットに接続しようと思ったらプロバイダと契約して、自分で電話回線を分岐させて…という作業が必要でした。つながった分だけ料金がかかってもいました。インターネットにつなぐなら深夜、とよく言われていました。
でも、今では常時接続。おまけに何台もインターネットに接続できる時代。契約の形も通信量によって異なるような時代です。大手携帯電話会社と契約しなくてもスマホを持つことができる時代です。
多様化したサービスや機器から自分に合うものを選ぶことができる時代になった
時の流れの中でより良いサービスが生まれ、機器がどんどん使いやすくなっている。その中から自分に合ったものを「選ぶ」ことができるようになった。
スマホが登場したころは確かに使いづらさはあったかもしれません。ですが、今は「選ぶ」ことができるくらい多様化してきているのだと思います。
スマホを購入する前と後とでは知っておいてほしいこと、知りたいことが違ってくる
だからこそ、スマホを購入する前の人が知りたいことと購入した後の人が知りたいことは違って当然です。ましてや、スマホの操作というのは
- 電話に出られる
- 電話をかけられる
- 文字を入力できる
- 相手の電話番号を登録できる
- 自分の携帯電話番号を調べることができる
- メールの送受信ができる
- カメラで写真を撮影できる
- 撮影した写真を画面に出すことができる
- アラームを設定することができる
- インターネット検索ができる
くらいができれば十分です。
上に書いたものはすべてガラケーでもできること、です。スマホにしかできないことがあるとすれば「アプリ」を使うこと、だけなのではないでしょうか。
もし、スマホ教室を一斉講習で行うのであれば上に挙げたようなことができるようになっていただければいい、わたしはそう思います。
スマホを使い始めた人からは「アプリの使い方」に関する相談が多い
ただ、スマホを使い始めたという人からの相談で多いのは「アプリの使い方」なのです。この「アプリ」ですが、何千何万とありますね。人によって使いたいアプリは違います。それを一斉講習で行うというのには無理がある、とわたしは考えています。
さらに、どうしてもスマホ教室を一斉講習の形で行いたいのであればアプリを絞るしかないと思ってもいます。アプリを絞って購入からダウンロード、使い方までをお話しする形が一番いいのではないかと考えます。
あとは、やはりセキュリティ。個人情報の取り扱いも含め、IDやパスワード、アカウントなどの管理についてお話しできればと思っています。
それから、その人に合わせたスマホの設定を整えるのもいいかもしれません。スマホやアプリを初期設定のまま使うのではなく、その人に合わせた設定にする。
スマホは習うより慣れろ?じゃないですが、スマホをどう使うかは自分で決められる
スマホをどう使っていくかは自分で決めることができます。与えらえた環境の中で要不要を考え、それに合わせてアプリをインストールしたりアンインストールしたり。時には設定を変更したり。それらはすべて自分で決めることができるのです。
パソコン教室に通う高齢者の多くは、ガラケーからスマホに替えることを躊躇している理由として「ガラケーでできていたことができなくなるかもしれない」という不安を口にする人が多いです。
手順は確かに違ってしまいますが、それでもガラケーで使っていた機能をスマホで使うことはできますし、必要になればアプリを追加して自分の使いやすいようにカスタマイズしていけるのがスマホです。
スマホを購入する前もしくはスマホを購入した直後であれば一斉講習という形は実現できそうですが、使い慣れてきている過程では一斉講習という形より相談形式のほうがいいんじゃないかと思う理由について書いてみました。
スマホを使うと料金が…と言う視点もあるので一概には言えませんが、高齢者だからスマホは使えないというのはないという点についても書いてみました。